おじさん少年の記

疲れた時代に、癒やしの言葉を。からだはおじさん、こころは少年。

2022-01-01から1年間の記事一覧

【ざんねんマンと行く】 年神様もたまにはたそがれる

年々、わしの出番も少なくなりよるのう。 東洋の島国の人々が昔から信じてきた存在、年神(としがみ)様は少し寂しげにつぶやいた。 一年がまさに始まらんとするときに地上に降り立ち、それぞれの家々を訪ね、幸をふりまいてきた。姿形は見えずとも、神聖な…

【短編】貯金

ある人は、近ごろ物覚えが悪くなった。 行動も落ち着かない。発言も時折脈絡のない方向へと飛んでいく。 周りの人々は、面食らうことが増えていった。 その人との近さに比例するように、縁の薄い人々から離れていった。 はた目に見る限りでは、行動に異常が…

【歩き旅と思索】 41・リアルにものを見る

~簡単な自己紹介はこちらです~ そこそこ重いザックを背負い、ひいこらひいこら歩みを進める。ところどころで荷を下ろし、足腰を伸ばし、大空をぼおと眺める。疲れがほぐれたら、また荷を背負い、歩き始める。 土地から土地へ歩いてつなぐシンプルな旅だが…

【ママさん探訪】7・浮き沈み、荒波

景気を物語る指標はさまざまある。 株価、金利、消費者物価。どれも数字で表せる。分かりやすい。 ただ、こうしたデータ以外にも、五感で如実につかめる指標がある。それは飲み屋街だ。ネオンきらめく通りを行き交う人々、路駐するタクシー、酔客に巧みにす…

【サラリーマンの第2外国語挑戦】8・現在の並行学習術

簡単な自己紹介です↓ ojisanboy.hatenablog.com 私の中国語力は、英語(英検1級取得済)を10とした場合、おそらく2ぐらいだ。HSKなら2級程度か。 ひよっこもいいところだ。とまれ、空いた時間にしこしこと表現などを覚えている。 思いっきり中国語の学…

【英語ニュース探訪】4・声なき声が「丸見え」に

世界中の誰も望んでいない戦争が、2年目に入ろうとしている。 かの国の人々は一体何を考えているのか。戦争を支持しているのか。反対しているのか。うんざりしているのか。諦めているのか。報道管制が敷かれており、なかなか一般国民の「声なき声」が聴こえ…

【ざんねんマンと行く】 サンタのプレゼント

時計の針が「12」を回った。 12月25日、深夜。世界中の子どもたちが、翌朝枕元に添えられるプレゼントを心待ちに、楽しい夢を見ていることだろう。高校2年生の哲郎は、窓越しに漆黒の夜空を眺めると、幼かったころを思い出した。両の頬が一瞬、緩みか…

【歩き旅と思索】 40・子供の目、親の目

~簡単な自己紹介はこちらです~ 同じ人間を見るのでも、子供と大人とでは捉え方が全く違う。 純粋な目と、世間を知った上で見るいぶかし気な目。 見つめられるほうは、たまらん。 それを、歩き旅の途上で如実に感じた。 大分県は山中の廃線沿いを歩いていた…

【サラリーマンの第2外国語挑戦】7・分かりやすいサイト

簡単な自己紹介です↓ ojisanboy.hatenablog.com 私は第二外国語として中国語を勉強している。 仕事が終わり、夕食と風呂を済ませた夜、少しずつだがボキャブラリーを増やしている。hellotalkという無料語学アプリで語学交流もしている。 これ以外にも大いに…

【サラリーマンの英検1級攻略術】42・読解力が先か、リスニング力が先か

限られた時間と予算の中で、英検1級に合格したい!という社会人の方をイメージしながら書いている。 ※簡単なプロフィルは☆こちら☆になります 英検1級では、読む・聞く・書く・話すのすべてが求められる。いずれも一定程度以上の水準をクリアする必要がある…

【ブログ探訪】客観的に見る

こんにちは。おっさんです。 ブログ巡りを始めてから、ほぼ固定的にフォローさせていただいている方が何人かいらっしゃいます。皆さん趣味個性とも違っており、それぞれに読み応えと気づきがあります。ありがたいです。 その中の一人の方は、ご本人は気付い…

【英語ニュース探訪】3・核の被害者がここにもいた

~簡単な自己紹介はこちらです~ 核にまつわる話がかまびすしい。持つべきか、持たざるべきか。 少なくともいえるのは、使ってしまうと破滅が待っているということだ。 日本人として核の使用はどんな条件下であっても賛成できない。広島、長崎は二度と繰り返…

【大将と私】17・ストレスフリー

変わり者の大将の紹介↓ ojisanboy.hatenablog.com その人を前にすると、日ごろの悩みや胃の痛くなる話が頭から外れる。そんなありがたい存在がいれば、どれほどいいことか。 私には、幸いにもそういう得難い人物がいた。20代のころ、ひたすら入り浸ってい…

【ざんねんマンと行く】第37話・ネチネチ上司との闘い

「ガミガミ、ネチネチ、毎日うるさいんです」 新着メールを開くと、呪詛(じゅそ)の言葉が連綿とつづられていた。これまた、やっかいな仕事になりそうだ。 人助けのヒーローこと、ざんねんマン。活動を始めて1年が過ぎ、どんなエマージェンシーコールにも…

【歩き旅と思索】 39・知られない感動

~簡単な自己紹介はこちらです~ 進むルートも、目的地も、気の向くまま。そのときの気分に従って一筆書きのかたちにつないで歩くばかりの旅には、有名な観光地との出会いこそ少ないけれど、その土地その場所を通りがかった人だけが味わうことのできる感動に…

【英語ニュース探訪】2・マーケットの転換期

~簡単な自己紹介はこちらです~ 最近の記事で、懐かしい名前を見つけた。「おやおや?」と心がややざわめいた。 Peter Schiff 氏。 2008年のリーマンショックの前から、バブルがはじける恐れについて強いトーンで警鐘を鳴らしていた人物だ。 今でこそ「…

【短編】10・究極のバランサー(最終章)

地球上の大陸という大陸に散らばった貧乏神様たちは、喜んでいいのか悪いのか分からないが、仕事をしっかり果たした。 金周りが良くなりすぎていた地域で、物価上昇の勢いが緩やかになっていった。大黒天様の登場で続々と発見されていた金鉱山も、やがて鉱脈…

【短編】10・究極のバランサー(下)

天才科学者の吉田がタクシーを飛ばして向かったのは、再び空港だった。 「今度の旅ほど、気が乗らないことはない」 ため息をつきながら、国際便の搭乗ゲートへ。各便の離着陸時刻を伝える大型スクリーンを見上げた。「これだ」 目線の先には、見慣れぬ都市の…

【短編】10・究極のバランサー(中)

既に福の神の強運をおすそ分けしてもらった吉田、何を思ったか目の前の大通りに突如、飛び出した。そして、たまたま通りすがった大型トラックを止めた。「運転手さん、空港までヒッチハイク、お願いできませんか」 無理にもほどがあるといわれそうな相談だっ…

【短編】10・究極のバランサー(上)

「とうとう、できたぞ・・」 額ににじむ汗をぬぐうと、白衣の吉田は長く息を吐いた。 苦節30年。長かった。天才科学者の吉田といえども、世紀の装置の開発には難渋を極めた。 だが、道なき道を踏み分ける旅もこれで終わりだ。世の中が大きく変わる。みんな…

【ざんねんマンと行く】 ~第36話・こころを伝えることに技巧はいらない(下)~

(あらすじ) 花咲きほこる奈良の都の大通りに、一人力なくたたずむ青年がいた。遠く九州を目指す、防人(さきもり)だ。ネットも電話もない時代。生きてふるさとの関東に帰れる見込みもなく、ただひたすら「お父さん、お母さんに愛の言葉を伝えたい」と願う…

【英語ニュース探訪】1・大統領発の新語

英語を学ぶのにふさわしい教材は、市販の教科書や問題集ばかりではない。 むしろ、日々地球の各地から配信されるニュースや記事の中にこそ、学びや驚き、発見があるといえるかもしれない。 私は語学を趣味にしている一介のサラリーマンにすぎないが、同好の…

【歩き旅と思索】 38・テントの次にいい寝ぐら

~簡単な自己紹介はこちらです~ 歩いて土地をつなぐ旅では、なるべくテント泊をするようにしている。 できる限り自然を味わっていたい、空間のつながりを実感したいというのが旅の大きな目的の一つであり、それには野営が一番となる。 ただ、市街地に入ると…

【サラリーマン・癒やしの和歌】13・時代を越えて届くフレーズ

疲れたサラリーマンに、古の和歌が響く。 ~簡単な自己紹介はこちらです~ ある詩の、楽曲の、たった一つのフレーズが、時代を越えて生き残り、人々の胸を打つことがある。 今から千年以上も昔に編まれた、一首の和歌もその一つだろう。 心なき 身にもあはれ…

【サラリーマンの第2外国語挑戦】6・英語ニュースからは見えない世界

簡単な自己紹介です↓ ojisanboy.hatenablog.com 外国語は英語さえ話せれば充分という向きがあるかもしれない。 だが、二つ目の外国語を抑える、少なくとも手を出してみることは大きな意味がある。 英語圏の価値観から脱することができるということだ。 海外…

【サラリーマンの英検1級攻略術】41・使えるサイト

限られた時間と予算の中で、英検1級に合格したい!という社会人の方をイメージしながら書いている。 ※簡単なプロフィルは☆こちら☆になります 英語力を鍛えるうえで役立つサイトは山ほどある。ここ最近、私がお世話になっているサイトをご紹介する。 Yahoo |…

【ざんねんマンと行く】 ~第36話・こころを伝えることに技巧はいらない(中)~

【(上)のあらすじ】 1000年以上昔。花咲きほこる都・奈良の大通りに、一人力なくたたずむ青年がいた。遠く九州まで防人として向かう途中。ネットも電話もない時代。生きてふるさとの関東に帰れる見込みもなく、ただひたすら「お父さん、お母さんに愛の…

【大将と私】16・底知れぬファン層

変わり者の大将の紹介↓ ojisanboy.hatenablog.com 50を超えたおっさんなのに、不愛想なのに、どこまでも愛嬌があり、慕われる居酒屋の大将がいた。 私も他のファンに負けないくらい、大将に入れ込み、頻繁に大将の店に足を運んでいた。それこそ、20代の…

【ブログ探訪】ありのまま

こんにちは。おっさんです。 ブログ巡りをしていて、思わず目がとまる、足がとまる先というのがあります。 その中の一つが、ありのままの自分をさらしているもの。 少し前からフォローさせていただいているのは、最近独立開業したという男性。アラ還。設備投…

【歩き旅と思索】 37・弁当屋のおばちゃん

~簡単な自己紹介はこちらです~ ザックを背負い、黙々と歩く旅を続けていると、どこかで誰かが声を掛けてきてくれる。 熊本県は南部、通称「ループ橋」と呼ばれる円周形をした橋に差し掛かったときのことだ。 季節はまだ涼しい5月ごろだったと記憶する。さ…