おじさん少年の記

疲れた時代に、癒やしの言葉を。からだはおじさん、こころは少年。

2023-12-01から1ヶ月間の記事一覧

【SF短編】7色の星

宇宙は探検するほど発見がある。自分たちの常識がいとも簡単に覆されるのは、多少ショッキングではあるが、驚きと喜びがはるかに優る。 知れば知るほど、己の視野の狭さに思い至り、頭が垂れる。 ともあれ、こちらの星もまた我々地球人にとっては奇想天外な…

【SF短編】こころめがね

23××年××月××日 快晴 手記を綴りだしてからもう何年になるだろう。人生も折り返し点を過ぎると、何やら自らの足跡を残したくなるようだ。 それにしても、市場にあの商品が登場してから、世の中は一気に変わったと感じる。私の半生も、そしておそらく地球上…

【SF短編】繰り返しの未来

私は遂にタイムマシーンを発明した。 苦節50年、長かった。ああ、気づくともう喜寿だ。 感慨にふけっている暇はない。往生こいてしまう前に、見たいものを見ておくことにしよう。 ふっふ、私が見たいものは、古代の恐竜やら近未来の文明生活やら、ミーハー…

【SF短編】過去なき世界

その惑星の住民は、見た目こそ我々地球人と似ていたが、決定的に異なる特性があった。 過去がなかったのだ。 正確にいえば、彼らは過去への関心が極めて薄かった。その代わり、目の前の「今」に注意力のほぼすべてを注いでいた。未来については、あくまでそ…