おじさん少年の記

疲れた時代に、癒やしの言葉を。からだはおじさん、こころは少年。

2022-07-01から1ヶ月間の記事一覧

【ざんねんマンと行く】 ~第27話・カラオケで注目を浴びたい管理職の心境(下)~

~(中)はこちらです~ 人助けのヒーローからマンツーレッスンを受け、「カラオケで若い子たちにもてたい」という恥ずかしい願望の実現に一歩近づいたアラフィフの男・弘(ひろし)。 決して華やかとはいえないが、それなりに光るカラオケ人生が、始まった…

【歩き旅と思索】 ~21・好きなものを少し離れて眺める~

~簡単な自己紹介はこちらになります~ ojisanboy.hatenablog.com 大学進学の際、寝台特急で上京した。車窓から見上げた富士山のスケールの大きさに、息をのんだ。それ以来、富士山のファンでいる。 歩き旅でも、何度か富士をテーマにコースを選んだ。 ある…

【サラリーマン、家系図をつくる】16・家系図に残るgen.1

~簡単な自己紹介はこちらです~ ojisanboy.hatenablog.com 先祖の名前をどこまで挙げられるか。 ほとんどの方は、自分の祖父母ぐらいまでだろう。私もそうだ(系図を調べたとはいっても、すぐに先祖の名前は出てこない。ご先祖様すいません)。 そこから上…

【短編・2】主人公

煤(すす)の付いた繊維の表面に、ギュイと押し付けられた。 うむをいわさぬ強い力を与えられ、表面の上を前に後ろにとこすれて動いた。 これが世界との、最初の出会いとなった。 真っ白で美しい立方体の形をしていた体躯も、繊維に押し付けられ、こすれこす…

【随想】大将と人生

20代のころ、行きつけにしていた居酒屋があった。 大将は年のころアラフィフ。兄弟姉妹はおらず、両親は既に亡く、親類関係も途絶え、天涯孤独だった。 だが天性の朗らかさと人懐っこさが幸いしたのか、少ないけれど決して離れないコアなファンたちによっ…

【ざんねんマンと行く】 ~第27話・カラオケで注目を浴びたい管理職の心境(中)~

カラオケがうまくなって、会社の若い子たちにチヤホヤされたい! 誰にも明かせなかった願望をざんねんマンに聞いてもらったアラフィフの男・弘(ひろし)。居酒屋でひとしきり話をした後、人助けのヒーローに手引きされるように店を出た。 ややできあがった…

【随想】銭湯と人生観

以前のこと。転勤でとある都市を離れる際、公私でお世話になった方と最後に地元の銭湯を訪ねた。 湯気のたちこめる大浴槽につかり、その土地を離れる寂しさと楽しかった思い出をじんわりかみしめていると、その方がなんとはなしに語りだした。 まあなあ、〇…

【歩き旅と思索】 ~20・同行二人~

~簡単な自己紹介はこちらになります~ ojisanboy.hatenablog.com 一人、空の下を黙々と歩くのは一見孤独だ。だが、よくよく振り返ってみると、寂しさはそれほど感じない。自分のこころの中で、自分と対話をしている。ああ、山の緑、映えるなあ。こころの中…

【サラリーマンの英検1級攻略術】~27・読むといい文章とは

限られた時間と予算の中で、英検1級に合格したい!という社会人の方をイメージしながら書いている。 ※簡単なプロフィルはこちらになります 英語の読解力を鍛える上で、役に立ち効率的な文章は何だろうか。 ①新聞やテレビの記事②小説③エッセイ④論文・専門誌⑤…

【短編】三角・丸・四角

三角にとって、丸はなんともひ弱な存在であった。 角がない。ツンツンした、自己主張というものがない。 存在たるもの、なにがしか己の確たる個性を打ち出すべきである。三角には、そのような考えがあった。 丸は答えた。いや、つぶやいた、というべきか。 …

【ざんねんマンと行く】 ~第28話・カラオケで注目を浴びたい管理職の心境(上)~

これまで、そこそこ納得いく人生を送ってきた。 そこそこの大学を出て、それなりに名の知られた会社に入った。上司、仲間にも恵まれ、ある程度納得いく仕事とキャリアを積むことができた。今は管理職として、相応の地位と責任を与えられている。部下からもそ…

【サラリーマンの英検1級攻略術】~26・「使える」サイト探訪~

限られた時間と予算の中で、英検1級に合格したい!という社会人の方をイメージしながら書いている。 ※簡単なプロフィルはこちらになります どうせ英語を勉強するなら、単語やイディオムを無機質に覚えるだけでなく、海外の文化や生の様子も吸収したいところ…

【歩き旅と思索】 ~21・個物から体験へ~

~簡単な自己紹介はこちらになります~ ojisanboy.hatenablog.com ただ歩く、歩き続けるという旅を通して、私個人の社会性(会社員であること、家族であること、誰かの友人知人であること)はするすると抜け落ちていく。 そこに残るのは、ただ歩くだけの身体…

【サラリーマン・宇宙感動記】14・NASAが本気出す(7月12日)

7月12日、米国バイデン大統領が宇宙関連で会見をした。 NASAが約半年前に打ち上げた宇宙望遠鏡「JWST(James Webb Space Telescope)」の精細画像第一号を公開したのだ。 人類が感知できる範囲の、宇宙の果ての果てを覗くことに成功した。幸いにも私たちは…

【サラリーマン・癒やしの和歌】10・技巧に走らない美しさ

疲れたサラリーマンに、古の和歌が響く。 ~簡単な自己紹介~ 万葉集は日本人最古の和歌集といわれる。歴史の古さもさることながら、その表現力、ストレートに感情を伝える素直さに引き込まれる。 この歌は、文字を目で追っていくだけでも心がうずく。 天地…

【サラリーマン・宇宙感動記】13・地球の常識、宇宙の非常識

地球人の目線から考えるとしごく当然のことが、宇宙全体からみると例外的で珍しいーといったことがある。 日が昇り、沈む。一日が過ぎる。 これ自体、珍しい。 私たちの太陽系に最も近い恒星系として、ケンタウルス座アルファー星が知られている。光の速さで…

【ざんねんマンと行く】第27話・宇宙にあこがれる少年~

「息子に、せがまれまして」 便せんにしたためられた相談内容に、人助けのヒーローはちょっと渋い顔をした。おいらはなんでも屋じゃないんだがなあ。 手紙の主は、東京都内に暮らす会社員男性(50歳)。最近、日本人実業家が宇宙旅行を楽しんだというニュ…

【サラリーマン、家系図をつくる】15・旧土地台帳を調べる

先祖の先祖の、そのまた先祖の・・・と「人」をたどっていくのが家系図づくりの基本だろう。 ただ、情報はこれだけではない。「土地」も貴重なソースとなる。 全国各地の法務局では、明治以降の土地の所有者名を記した資料(旧土地台帳)が保管されている。…

【歩き旅と思索】 ~20・空間の捉え方が変わる~

~簡単な自己紹介はこちらになります~ ojisanboy.hatenablog.com ただ歩くだけの旅だが、これがどうにも面白い。明確な理由や理屈があるわけではない。ただ、面白くて楽しいから歩いている。理屈は後からついてくる感じだ。出発地点から一歩踏み出した時点…

【サラリーマンの英検1級攻略術】~25・自作短編を英語にしてみる

「英検対策」の文字がちらつくと、どこかストレスがたまるものだ。 遊びも含めて英語と付き合うことができれば、学習も楽しくなる。 暇つぶしに自作の短編を英訳してみる。 ~以下、短編「ざんねんマンと行く」第1話~ 世の中にはたくさんのスーパーヒーロ…

【サラリーマン・癒やしの和歌】9・死と近い分、生が輝く

疲れたサラリーマンに、古の和歌が響く。 ~簡単な自己紹介~ 万葉の時代の人々は、いつも死を近くに感じながら暮らしていた。 庶民なら疫病。貴族なら権力闘争。今のように秩序や健康が保証された時代ではない。いつ死ぬか、命をとられるか、分からなかった…

【サラリーマン・宇宙感動記】12・50億年後のワクワク

夜空を見上げると、星々が必ず固定された位置で輝いているように見える。 だが、違う。星々は、瞬時もとどまることなく、動いている。 動いているということは、どこか他の星と近づいたり、離れたりしているということを意味する。 私たちの住む天の川銀河も…

【ざんねんマンと行く】 ~第26話・ほじくり怪獣・ホジクロンとの闘い(下)~

~(上)はこちら~ 触れられたくない過去や秘密を白日の下にさらけ出す、ほじくり怪獣・ホジクロン。もはや抗う術なしかと世間が諦めかけたころ、意を決したざんねんマンが、決死の形相で強敵との間合いをジリジリと詰めていった。 こやつのやりたい放題に…