おじさん少年の記

いつまでも少年ではない。老いもしない。

創作

ベクトル

点にはおそらく、意志がある。 点は連なり、その結果何らかの連続線ともいうべき形状を擁する。 そこには「点」という個性からは決してたどり着けない性質がある。 連続線が重なりはじめる、そこで今度は「面」という個性が浮かび上がってくる。 面は、線に…

【語学実践リポート】SNSと生成AI

語学が好きな人にとって、ここ数年のITの進化は非常にありがたいものだろう。 SNSひとつみても、役立つツールが幾つもでてきて助かる。hellotalkというアプリを使えば地球上の誰とでもリアルタイムでチャット・ビデオトークができる。お互いに無料で教…

無と有

見渡す限りのものは、意志を持たない物体か、命宿る生命である。 意志、命を一つの指標ととらえるなら、 物体は「無」であり、生命は「有」ともいえる。 世界を見渡すと、有が燦然と輝き存在を謳歌しているようにみえる。 有こそが存在の象徴であり、その頂…

【SF短編】異次元列車(2)

呑めば呑むほど強くなる。 と言ったのは銀幕のアクションヒーローだが、私も一人の吞ん兵衛として同じような思いを抱くものである。 といっても体が強くなったり、気が大きくなったりするわけではない。 妄想が願望がすっかり強くなるのである。 ときにそれ…

【随想】微分と積分

学生のころ、級友と飲んでいて「人生は微分で行きたい」と言われた。 はて何のことやらと呆けていると、級友は説明した。 微分を噛み砕いて言うと、任意の線の1点が持ち合わせている傾きを算出することだといえる。 人生が山あり谷ありの1本線だとして、任…

【短編】フリーフォール

年明け、したたかに酔っ払い、路上のどこかでつまづいた。 まあるい穴が目の前にあり、よける余裕もなくどうと頭から突っ込んだ。 先程まで脳内に溢れていた興奮があれよと姿を消した。 「しまった」と思った。 旅路の終わりは、こうもあっけないものか。さ…

【短編】ときの人

今、こうして私の声が聞こえているということは、あなたが、たまさか我々の世界と通じたということだ。 まぶたは開けなくていい。開けても私の姿は見えない。我々の世界に「姿」というものはない。夢かうつつか、そんな些末は脇において、相まみえた奇縁を喜…

【短編】同通世界

ピンピン、コロリが終わり方の理想だったが、まあそこそこいい形に締めくくることはできたんじゃないかな。 家族に迷惑かけすぎることなく、没後のゴタゴタがおこらないよう終活もしっかり済ませておいたしね。 おかげで心置きなく、こっちの世界にお引越し…

【歩き旅と思索】仏教

初めに言葉があった そこから人間の世の中が始まった これは間違いない 聖書の指摘するとおりだ 一方で、その言葉が生まれる以前から世界はあった それは恐竜が地上を闊歩していた時代であり、微生物すら登場する以前の原始地球の時代である 世界は、言葉が…

God of drink

i am a kind of Non-bee, which means those who love drinking. yes drinking gives me much fun , excitement not only drinking itself but chatting with guys is also fun everytime i drink with people, i get so upbeat and very often carried away…

【ショートショート】「倍返し」の世界

21☓☓年。時の内閣が一つの法案を提出した。 俗称「倍返し法」 国も会社も地域も、争い諍いが絶えない。 技術が進んでも、人のこころまで進歩するわけではない。それが悲しい現実だ。 弱い者はいつまでたっても弱いまま。ジャイアン、もとい、強者はどこま…

【短編】異次元居酒屋

長らく呑兵衛をやっているが、こんな面白い居酒屋があるとは知らなんだ。 あれは先日の週末だ、私は郊外の自宅に直帰するのももったいなく、いつものように新橋SL広場に向かった。 これから酔いどれていくであろう背広姿の中年連中を眺めているだけで、寂し…

【ショートショート】しあわせメーター

IT系のスタートアップが斬新な商品を売り出した。 「しあわせメーター」 ぱっと見はメガネだが、縁についているボタンを押すと、目の前にいる人の幸せレベルを数値化してくれる。 日曜の空いた電車で、私はたまたま向かい合った初老の女性にフォーカスしてみ…

【SF短編】繰り返しの未来

私は遂にタイムマシーンを発明した。 苦節50年、長かった。ああ、気づくともう喜寿だ。 感慨にふけっている暇はない。往生こいてしまう前に、見たいものを見ておくことにしよう。 ふっふ、私が見たいものは、古代の恐竜やら近未来の文明生活やら、ミーハー…

【SF短編】過去なき世界

その惑星の住民は、見た目こそ我々地球人と似ていたが、決定的に異なる特性があった。 過去がなかったのだ。 正確にいえば、彼らは過去への関心が極めて薄かった。その代わり、目の前の「今」に注意力のほぼすべてを注いでいた。未来については、あくまでそ…