おじさん少年の記

疲れた時代に、癒やしの言葉を。からだはおじさん、こころは少年。

2023-02-01から1ヶ月間の記事一覧

【妄想SHOW】パワー家族

粒A「もう、耐えられんわ。こんな集団生活。俺は抜ける!」 粒B「それはこっちのセリフだ!A、お前図体でかいくせに結構なスペース陣取りやがって、さっさと出ていきやがれ」 粒C「お前らみんな、出ていってけれ!せいせいするわい」 粒DEFG・・「右に同じ!…

【短編】主人公

煤(すす)の付いた繊維の表面に、ギュイと押し付けられた。 うむをいわさぬ強い力を与えられ、表面の上を前に後ろにとこすれて動いた。 これが世界との、最初の出会いとなった。 真っ白で美しい立方体の形をしていた体躯も、繊維に押し付けられ、こすれこす…

【短編】目覚め

前触れなく、そのときは訪れた。自らを遠巻きに囲む者たちの関心を、肌がヒリヒリするほどに感じた。 黒く、こんもりと盛り上がった自らの肉体に、柵の向こうから多くのジャンパーが白い顔を向けている。ああ、今、「見られて」いる。 これまで、ただ吸い、…

【短編】現実×教育

〇✖県が、学校現場のドラスティックな改革に踏み切った。 その名も「現実教育」。 競争、対立、裏切りー。世の中の醜い実態を、早いうちから子供たちに教え込もうという試みだ。 「次代を担う子供たちに、打たれ強い人間になってもらいたいんです」 報道陣に…

【妄想SHOW】6・AI×哲学

AI開発競争で先頭グループを走る〇✖大学の山田教授は、遂にユニークなソフトを生み出した。 バーチャル有名人出現機。 古今東西の文化人、経済人、アスリート、ロビイスト。名のある人物であれば、ワードを入力するなり3D画像で本人が登場し、生前の本人そ…

【ざんねんマンと行く】第39話・AIに越されそうな男

はぁ~ カウンターの隣から、やたらため息が漏れてくる。なんだようまったく、辛気臭いなあ。 駅前のこじんまりした居酒屋。人助けのヒーローことざんねんマンは、熱燗をチビチビやりながらしっぽり「お一人様」を楽しんでいたが、途中からやってきたサラリ…

【サラリーマン・妄想SHOW】5・就任第一声

え~、このたび首相の重職を拝命いたしました、山田寅太郎でございます。 どうぞよろしくお願いします。 国民生活を守るため、身を賭して尽力する所存でございます。 疫病流布、諸物価高騰、国際争乱。まさに国は未曽有の危機にあります。 皆さまご高覧のと…

【サラリーマン・癒やしの和歌】場面の切り替えの妙

万葉集は5・7・5・7・7の定型スタイルのほかに、5・7を繰り返す長歌というジャンルの作品も多い。 これがまた、リズム感あふれ、そらんじてみると自分自身の気分まで乗ってくる。いわば日本のラップだ。 それに加えて、場面描写の妙が際立っている(…

【サラリーマン・宇宙感動記】地球の常識、宇宙の非常識

地球人の目線から考えるとしごく当然のことが、宇宙全体からみると例外的で珍しいーといったことがある。 日が昇り、沈む。一日が過ぎる。 これ自体、珍しい。 私たちの太陽系に最も近い恒星系として、ケンタウルス座アルファー星が知られている。光の速さで…