おじさん少年の記

疲れた時代に、癒やしの言葉を。からだはおじさん、こころは少年。

歩き旅と思索

【歩き旅と思索】 22・シート1枚の安心感

~簡単な自己紹介はこちらになります~ ojisanboy.hatenablog.com 歩き旅では、毎回テントを持参している。なるべく野宿をし、自然を満喫するようにしている。 1人用のテントは小さいが、シート1枚に包まれているだけで実に大きな安心感を得ることができる…

【歩き旅と思索】 ~21・好きなものを少し離れて眺める~

~簡単な自己紹介はこちらになります~ ojisanboy.hatenablog.com 大学進学の際、寝台特急で上京した。車窓から見上げた富士山のスケールの大きさに、息をのんだ。それ以来、富士山のファンでいる。 歩き旅でも、何度か富士をテーマにコースを選んだ。 ある…

【歩き旅と思索】 ~20・同行二人~

~簡単な自己紹介はこちらになります~ ojisanboy.hatenablog.com 一人、空の下を黙々と歩くのは一見孤独だ。だが、よくよく振り返ってみると、寂しさはそれほど感じない。自分のこころの中で、自分と対話をしている。ああ、山の緑、映えるなあ。こころの中…

【歩き旅と思索】 ~21・個物から体験へ~

~簡単な自己紹介はこちらになります~ ojisanboy.hatenablog.com ただ歩く、歩き続けるという旅を通して、私個人の社会性(会社員であること、家族であること、誰かの友人知人であること)はするすると抜け落ちていく。 そこに残るのは、ただ歩くだけの身体…

【歩き旅と思索】 ~20・空間の捉え方が変わる~

~簡単な自己紹介はこちらになります~ ojisanboy.hatenablog.com ただ歩くだけの旅だが、これがどうにも面白い。明確な理由や理屈があるわけではない。ただ、面白くて楽しいから歩いている。理屈は後からついてくる感じだ。出発地点から一歩踏み出した時点…

【歩き旅と思索】 ~19・体の感覚が映し出す風景

静岡県は中部・掛川市内を歩いていたときのことだ。 昔から街道として栄えていた「東海道」に沿って進む中、やや起伏の激しい山間に入った。 上り下りがかなり激しいところを過ぎたところで、やや大きな観光看板を認めた。 江戸時代の浮世絵風のようだ(後に…

【歩き旅と思索】 ~18・野宿で冷や汗をかく~

~簡単な自己紹介はこちらになります~ ojisanboy.hatenablog.com 日がな歩いて、夕方になったらテントを張る。単純な旅だが、これでも結構ヒヤリとする機会に遭遇した。 忘れもしない。佐賀県は太良町という、有明湾をのぞむ町を通りかかったときのことだ。…

【歩き旅と思索】 ~17・「私」の前に体験がある~

~簡単な自己紹介はこちらになります~ ojisanboy.hatenablog.com 私が歩き旅を始めた直接のきっかけは、学生時代、存在の不安に悩まされたことにある。 存在するとはどういうことか。私の存在とは。他人は果たして本当に存在しているのか。そういった、一見…

【歩き旅と思索】 ~15・自分と合わないものにも交わる~

~簡単な自己紹介はこちらになります~ ojisanboy.hatenablog.com 歩き旅の良さの一つは、自分のペースで、自由気ままに、ゆっくりと1日を満喫できるところにある。 ただ、それがそうもいかないときも、ある。 学生時代、広島県は岩国市から山口県に入った…

【歩き旅と思索】 ~14・意味づけられた空間からの解放(続)

両脚を交互に前に出し続けるだけの旅を通して、日ごろ無意識に受け入れている現代社会の枠組みから自由になる。これも、歩き旅の醍醐味だ。 熊本県は阿蘇を出発し、熊本市を経由して天草を目指したことがある。 熊本の市街地に入る手前、たしか水前寺公園と…

【歩き旅と思索】 ~13・意味づけられた空間からの解放

大学生のころに歩き旅を始め、20年近くが過ぎた。 ただ歩くというスタイルの旅に、なぜこうも惹かれるのか、自分でもよく分からない。考えて動いているというよりも、体が喜んでいるからそのように歩を進めている、といったほうが正直なところかもしれない…

【歩き旅と思索】 ~12・歩くスピードだからこそ感じ取れる風景美

※歩いてつなぐ旅をしております。簡単なプロフィールはこちらになります ojisanboy.hatenablog.com 一歩ずつの移動には、ほとんど風景の変化はない。やや飽きることもたびたびだ。だが、それだからこそ、視界が突然開けたりすると、言葉にならない感動を覚え…

【歩き旅と思索】 ~11・考えることの限界

学生時代、「存在」というものについて考えた。 積極的に考えたかったわけではない。自分が存在するということ、他人が存在するということ、この世の中のあらゆるものが存在するということが、本当にそうといえるのか、確信が持てなくなったことが根っこにあ…

【歩き旅と思索】 ~10・文明という礎の上で生きる私

~簡単な自己紹介はこちらになります~ ojisanboy.hatenablog.com 歩き旅では、乗り物の利用は極力控えている。 なるべく文明の利器に頼らず、自分の脚を動かし続けることで、暮らしている空間の広がりを実感したいと考えるからだ。 だが、それは無茶であり…

【歩き旅と思索】 ~9・五感がそれぞれに交流する

~簡単な自己紹介はこちらになります~ ojisanboy.hatenablog.com 栃木県を鹿沼市から日光に向けて歩いていたときのことだ。 幹回りが実に太く、歴史を感じさせる杉並木に沿って、初夏の新緑を吸い込みながら徒歩旅を存分に満喫していた。 やや涼しさを感じ…

【歩き旅と思索】 ~8・怖いもののつづき~

~簡単な自己紹介はこちらになります~ ojisanboy.hatenablog.com 歩き旅をしてきた中で出遭った「怖いもの」は、動物以外にもある。 幽霊だ。 私は霊感というものがある方ではないと思うのだが、明らかに、「いる」と感じる瞬間があった。 鹿児島県は桜島を…

【歩き旅と思索】 ~7・怖いもの~

~簡単な自己紹介はこちらになります~ ojisanboy.hatenablog.com 歩き旅をしている中で最も怖いもの(怖かったもの)は、三つある。不審者、深夜の動物、それから幽霊である。 特にどれが一番怖かったかというと、それはなかなか選びづらい。だが少なくとも…

【歩き旅と思索】 ~6・気象の迫力~

~簡単な自己紹介はこちらになります~ ojisanboy.hatenablog.com お天道様の下、テクテク歩き続ける中で気づくことは実に多い。雲、日差し、青空、夕暮れ時の色合いの変化、こういった、視界に映るもろもろのものが、私の瞳を通じてとどまることなく変化し…

【歩き旅と思索】 ~5・概念と世界~

~簡単な自己紹介はこちらになります~ ojisanboy.hatenablog.com 日がな一日、歩く。 このスタイルでの旅を続けているうちに、どこかで気づかされることがある。 私は、だだっ広いこの世界を自由気ままに生きているわけではない。 相当な程度に、意味づけら…

【歩き旅と思索】 ~4・人間様~

~簡単な自己紹介はこちらになります~ ojisanboy.hatenablog.com 九州は大分県南部の海岸線沿いに歩いていたときのことだ。 夏も終わりかけのやや涼まってきたころだったか、日がな青い水面を眺めながら歩くのは実に爽快だった。 と、途中から上空を舞う一…

【歩き旅と思索】 ~3・こころと裸~

~簡単な自己紹介はこちらになります~ ojisanboy.hatenablog.com 歩き旅をしているとき、私は自分の肩書きを忘れるようにしている。自分自身と向き合えるせっかくの機会だからだ。肩書きという重荷を下ろすだけで、体がぐんと軽くなった気がしてくる。ここ…

【歩き旅と思索】 ~2・ことばの変化にふれる~

ある地点から、一歩、一歩、移動してゆく。そのわずかな一歩の間に、大きな変化は、ない。 だが、不思議なことに、その一歩、一歩を重ねてゆくと、どこかの時点で、数学でいうガウス関数のように、突然環境がガラリと変わる瞬間が、ある。 東京から南へ下っ…

【歩き旅と思索】 ~1・自己紹介~

私は学生時代より、趣味で歩き旅をしている。ある地点をスタート地点とし、ゴール地点まで数日掛けて歩く。 次に休みがとれたら、前回のゴール地点を振り出しに、次の目的地まで歩く。 この繰り返しで、日本列島は鹿児島から北は福島県まで歩いた。 1本の線…