おじさん少年の記

いつまでも少年ではない。老いもしない。

【歩き旅と思索】 ~4・人間様~

~簡単な自己紹介はこちらになります~

ojisanboy.hatenablog.com

 

九州は大分県南部の海岸線沿いに歩いていたときのことだ。

 

夏も終わりかけのやや涼まってきたころだったか、日がな青い水面を眺めながら歩くのは実に爽快だった。

 

と、途中から上空を舞う一羽の鳥が気になった。トンビだろうか。歩く私の真上で、ゆっくりと円を描いている。その動きがなんともゆったりとしていて、雄々しさに見惚れた。つかず離れず、私のはるか頭上で滑空を続けていた。

 

ここで、はたと気づいた。どうもこの鳥は、私を「餌」だととらえているのではないか。私がもし仮にここで倒れたりしたら、それきたとばかりにクチバシでつつきにくるのではないか。

 

なんということはない、私はあの鳥にとってただのつまみに過ぎないのだ。

 

私たち人間は、この地球上で一番偉い生き物だと考えているが、その実、同じように考えている生き物はどこにもいない。頭上の鳥だって、アリンコだって、私たちのことはなんとも思っていない。人間など、この地球の大きな空間の中では、たいしたことのない存在なのだろう。

 

そう考えると、私という存在が実に軽く感じられ、思わず笑い出したくなった。私たち人間は、あまり堅苦しく考えることなく、ひょうひょうと生を生きていけばいいのだろう。

 

日がな一日歩く中、頭上のトンビから大切な視点を教わった。