地球人の目線から考えるとしごく当然のことが、宇宙全体からみると例外的で珍しいーといったことがある。
日が昇り、沈む。一日が過ぎる。
これ自体、珍しい。
私たちの太陽系に最も近い恒星系として、ケンタウルス座アルファー星が知られている。光の速さで約4年かかった先にある天体だ。
ここにも地球と同じような岩石惑星があることが確認されている。その名を「プロキシマ・ケンタウリ」という。プロキシマとはスペイン語で「最も近い」を意味するらしい。
この惑星、実は「1日」がない。日の出も、日の入りも、ない。いわゆる、時間の変化が、ない。
惑星が主星(地球にとっての太陽)に近すぎる影響で、地球のようにクルクルと自転することができなくなっている。これを「潮汐ロック」という。
潮汐ロックが掛かってしまうと、例えば主星を向いている面は永遠に昼となり、反対側の面は永遠の漆黒となる。
もしこの惑星に生物がおり、宗教が生まれていると仮定しよう。
その場合、地球のキリスト教のような「創世記」は生まれない。宇宙が誕生して〇日目に何が起きたーということはありえない。「1週間」があり、「安息日」があり、といったこともない。こうしたもろもろのことが、その惑星の住人たちにとっては「非常識」となる。
よくよく調べると、今地球人が把握している系外惑星(約5000個)のうち、潮汐ロックに掛っていないものは数えるほどしかない。
我々地球人の常識が、宇宙にとっては必ずしもそうでないということに気づかされる。
不思議な感慨を覚える。
思考を柔らかく、夜空を見上げると、無限の気づきと感動がありそうだ。
~お読みくださり、ありがとうございました~