おじさん少年の記

疲れた時代に、癒やしの言葉を。からだはおじさん、こころは少年。

【各話読み切り】ざんねんマンと行く~疲れた現代人への応援歌

【ざんねんマンと行く】 ~第15話・オリンピックをみんなで楽しく~

世紀の舞台に漂う「ギスギス」感を、みんな一緒の「ワクワク」感に変えられないか―。 古代ギリシャで生まれたスポーツの祭典が、現代社会で蘇ってからはや1世紀。人間の鍛え上げた身体能力や表現力をたたえ合う舞台は、やがて出場国同士が力を見せつけ合う…

【ざんねんマンと行く】 ~第14話・語学学習がいらなくなる時代はくるのか(最終章)~

~初めての方は(上)からどうぞ(3分くらいで読めます)~ 【ざんねんマンと行く】 ~第14話・語学学習がいらなくなる時代はくるのか(上)~ - おじさん少年の記 「GENIOUSなしの生活には、もう戻れません」。そう答えてくれると期待していた山田だった…

【ざんねんマンと行く】 ~第14話・語学学習がいらなくなる時代はくるのか(下)~

~初めての方は(上)からどうぞ(3分くらいで読めます)~ 【ざんねんマンと行く】 ~第14話・語学学習がいらなくなる時代はくるのか(上)~ - おじさん少年の記 退屈で不便なはずの、後り2日間が始まった。 まあなんだ、何もしないのももったいないし…

【ざんねんマンと行く】 ~第14話・語学学習がいらなくなる時代はくるのか(中)~

~(上)はこちらです~ ojisanboy.hatenablog.com 早春の青空を翔け、ざんねんマンを乗せたヘリはまもなく瀬戸内の無人島に着陸した。 内海ならではの、静かさを伴った水面が瞳を奪う。チラチラ照り返す太陽の光が、心地よい。ああ、俺はいまからここでめく…

【ざんねんマンと行く】 ~第14話・語学学習がいらなくなる時代はくるのか(上)~

ピンポーン 玄関のチャイムが鳴った。人助けのヒーロー・ざんねんマンが暮らす、都内のアパート。住まいは明かしていないのだが、どこをどう探してくるのか、たまに来客・珍客がある。さて、今日はどんなご依頼かしら。 モニター越しに映るのは、ビシッと決…

【ざんねんマンと行く】 ~第13話・賀詞交歓会で修羅場見る~

今日で俺のキャリアも終わりか・・ 300人が集う恒例のパーティーがまもなく始まるというのに、企画開発課長である矢沢の表情は冴えなかった。 年明け早々、日本各地で開かれる「賀詞交歓会」。各業界の企業関係者らが一同に会し、名刺交換を通してパイプ…

【ざんねんマンと行く】 ~第12話・年神様もたまにはたそがれる~

年々、わしの出番も少なくなりよるのう。 東洋の島国の人々が昔から信じてきた存在、年神(としがみ)様は少し寂しげにつぶやいた。 一年がまさに始まらんとするときに地上に降り立ち、それぞれの家々を訪ね、幸をふりまいてきた。姿形は見えずとも、神聖な…

【ざんねんマンと行く】 ~第11話・突如現れたUFO、敵か味方か

とうとう、この日がきた。 日本は富士山の上空に突如現れたのは、巨大な球形をしたUFO。年の瀬の帰省ラッシュで混雑する東名高速道路は、スピードを落として上空を仰ぎ見るドライバーが続出し、大渋滞が生まれていた。 我々と同じく知能を備えた生命体がいる…

【ざんねんマンと行く】 ~第10話・乱世を生きる貴人の悩み~

これほどの屈辱を受けようとは。 怒りとも哀しみともつかない、複雑な感情が、貴人の心をかき乱した。 ときは、侍の世になって久しい鎌倉時代末期。武士政権の都合で一度は天皇の座についたものの、再び権力争いに巻き込まれ、やがて座を追われ、果ては幽閉…

【ざんねんマンと行く】 ~第9話・サンタのプレゼント~

時計の針が「12」を回った。12月25日、深夜。世界中の子どもたちが、翌朝枕元に添えられるプレゼントを心待ちに、楽しい夢を見ていることだろう。高校2年生の哲郎は、窓越しに漆黒の夜空を眺めると、幼かったころを思い出した。両の頬が一瞬、緩みか…

【ざんねんマンと行く】 ~第8話・合コンは甘くなかった~

「マジかよ!」スマホに映る短いテキストに、拓也の目は釘付けだ。思わず、手が怒りと悲しみでブルブルと震えている。今日は、生まれて初めて参加する、合コンなのだ。高校時代、一緒に過ごした鉄道研究会の同級生たちと、勇気を出して初めて企画したのだ。…

【ざんねんマンと行く】 ~第7話・怒涛の企業対決~

地球のあらゆるところで、企業が競争を繰り広げております。 国境を越え、大陸をまたぎ、社の利益を挙げんと日々、ビジネスパーソンたちが戦っているのであります。 ですが戦いは、疲れるものであります。 争いから距離を取り、ともに栄える道は、ないもので…

【ざんねんマンと行く】 ~第6話・悟れぬ仏師~

眼前に据えたクスノキの心材を凝視したまま、ピクリとも動かない。いや、動けない。仏師の家系に生まれた若い男は、代々世間から一族に与えられてきた評価と称賛を受け継ぐべく、日々研鑽を重ねている。だが、人々の心を打つ作品を仕上げられたことは、これ…

【ざんねんマンと行く】 ~第5話・雨降って~

いつの世も、けんかってのは絶えません。普段仲のいい友達だって、気が合わなくなるときもありましょう。そんなときは、ふうと息をついて、足元を見直すことが大切かもしれません。「もう、ないわ」空になったプリンのカップを見ると、栄子のひたいに青筋が…

【ざんねんマンと行く】 ~第4話・世界ヒーロー会議で羞恥にまみれる~

人生、何が自分に幸運をもたらすか分かりません。1本遅れて乗った電車で運命の人とめぐり合わせたり、オタクな趣味が、実は取引先の人も同じと分かって商談が進んだり。幸せを求めてガツガツするんじゃなく、かえって気楽に待ってるのもいいかもしれません…

【ざんねんマンと行く】 ~第3話・ほとばしる噺家の宿願~

大人に近づくにつれ、よく言われたもんです。 「個性を出せ」と。 部活でも趣味でも、個性を出し、自分らしさを磨くことで、学校や会社でも認められる存在になれるんだと。でもね、そんな無理して個性って磨かないといけないものなんでしょうか。 胸張って言…

【ざんねんマンと行く】 ~第2話・一生懸命~

私はときどき思うんです。いつの世も、目立つ人が結局得をするような気がするなあって。へっぴり腰で、押しの弱い人間にとっては、競争社会を生き抜くのはきついもんだ。そんな時代だからこそ、声なき声に応えてくれるような、そっと寄り添ってくれる、癒し…

【ざんねんマンと行く】 ~第1話・デビュー~

世の中にはたくさんのスーパーヒーローがいるもんですなあ。やれスー〇ーマン、ウル〇ラマン、バッ〇マン。みんな最強、みんなイケメン。で、モテる。まったく、叶わんですよ。悔しいもんです。私はねぇ、思うんですよ。ちょいと違った主人公がいてもいいん…