おじさん少年の記

いつまでも少年ではない。老いもしない。

【歩き旅と思索】 ~16・旅で出逢った猛者たち~

~簡単な自己紹介はこちらになります~

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ただひたすら歩き、まちからまちへと移り行く。一筆書きのような形で、日本国内を歩きつないでいく。

 

これはこれで一つユニークな旅ではないかと思うが、道中では「こんな猛者がいるのか」と驚かされる旅人に出逢ったことがある。

 

強烈だったのは、段ボール箱一つをかごに入れて自転車旅をする女性2人組。たしか山口県内のコンビニで休んでいるときに遭遇した。

 

山口県では、私はとある初老のおじさんと意図せぬ二人旅をしていた。そのときのワンシーンでもある。

 

駐車場でしゃがみこんで一息ついていると、その二人組がやってきた。自転車を止め、こちらも小休止をとる様子だった。

 

夏だった。二人ともすっかり日焼けしている。年のころは、20歳前後だろうか。妙齢だ。大丈夫だろうか。心配していると、相方のおじさんが気軽に声をかけていた。

 

聞くと、こちらのコンビも自転車で長旅をしているらしい。行き先は覚えていないが、やはり遠くを目指しているようだった。

 

驚いたのは夜のねぐらだ。なんと、自転車のかごに入れた段ボール箱に体を入れて寝るのだという。

 

どうやって体を入れるのか、説明はよく覚えていないが、それがポリシーらしかった。

 

より自然に近く、なるべく文明の利器に頼らず、自分の力で、旅をする。そういう意思を感じた。

 

かたや、こちら男二人はいずれもそれなりのキャンプを携帯している。そこそこの安全に守られ、快適な夜を過ごしている。それに比べたら、なんと大胆で勇気のあることか。

 

心底、驚いた。

 

二人ともべっぴんさんだったのも、驚きに拍車をかけた。

 

身を守るためだろうか、腕のあたりにタトゥーをしていた。やや危険な香りを漂わせることで、暴漢から身を守ろうとしているのだろうーと隣のおじさんが私にささやいた。

 

まだ休んでいる我々を横目に、女性コンビはささと自転車をこぎだした。後ろ姿は、颯爽としていた。

 

いろんな旅をしている人が、この地球上のさまざまなところで、今この瞬間も活動しているのだろう。ペダルをこぎ、歩みを進め、オールをかぎ、アクセルをふかせているのだ。

 

それぞれの旅に、こだわりがあり、発見がある。どれも素晴らしい。

 

私は私の旅を楽しみ、深め、味わっていくつもりだ。

 

~お読みくださり、ありがとうございました~