名前をまとうと、そこに個性が現れる
個性は輪郭を伴う
輪郭は、自と他を分ける境界線である
そこから相互作用が生まれる
あるときは発展であり、あるときは対立である
今の世の中は、対立が幅を利かせているようにみえる
本来は名も無い統合体が
己が内の分裂作用によって自らを切り刻み、うめき声をあげている
名前をまとう前の状態に戻れないか
あるいは、名前をひとときでも忘れられないか
私はAという国のB地方で暮らすCという会社の人間である、Dという教えを奉じている。こうしたもろもろの名前・個性から自分を開放するのだ
よくよく考えれば私はただ息を吸って吐く単なる生き物にすぎない
そこらへんの蟻やらトンビなどと大した違いはない
偉いも偉くないもなく、上も下もない
1日の中で、ほんのわずかの間でも、名前なき、輪郭なき自分に立ち返れば
対立に次ぐ対立の時代でも安らぎを見出すことができるかもしれない