おじさん少年の記

疲れた時代に、癒やしの言葉を。からだはおじさん、こころは少年。

【英語ニュース・投稿探訪】7・「ハーフ」にみる葛藤

米中対立が緊張の度合いを高めている。

 

米国の自由・民主主義か。中国の覇権主義か。どちらが正しいのか。どちらがこの競争に勝つのか。

 

二者択一式で考えがちだが、ことはそんなに簡単にいかないかもしれない。それは理屈上だけではなく、現実としてあるかもしれない。

 

そのことを、このインタビュー動画を通じて考えさせられた。

 

www.youtube.com

 

中国とアメリカのハーフ(ないしはクオーター)を対象にしたインタビュー動画だ。

 

うーん、聞いていて、唸らされた。

 

この人たちは、どちらの祖国も愛している。どちらか片方だけが一方的に正しい、とは感じていないし、そう言いたくない。愛情のはざまで葛藤している様子がうかがえた。なんだか、身につまされる思いがした。

 

アジアの文化、米国の文化、それぞれの良さを登場者は語っている。

 

後半、インタビューアーが敢えて政治的質問を投げかけた。今の米中対立、台湾問題、人権問題について。西側メディアは批判的に報道しているが、あなたはどう考えるのかと。

 

マイクを向けられた青年の表情に、米中ハーフとして生まれた人間の悩みがにじみでたように見えた。その青年は「デリケートなことについては語ることができない」と回答を避けたのだ。14分46秒あたり。

 

どこに監視カメラがあるか分からない。今日こうしてインタビューを受けることについても、母親に話したら慎重に語るよう忠告されたと明かした。

 

うーん、なんとかわいそうな。これだけ聞くと、中国という国はやっぱり圧政的だと感じざるをえない。

 

それでも、登場する3人はいずれも次の点を強調していた。それは

 

・西側マスコミがあげつらう面(専制主義、人権弾圧など)は、中国の人々の普段の暮らしにはほとんど関係がない(中国人がみな専制的で人権弾圧者であるというわけではない)

・市井の中国人はおおらかであり、フレンドリーであり、その文化も多様で素晴らしい

 

ということだ。私は中国を訪ねたことはないが、言語交流アプリなどを通じて一般の中国人とオンラインで交流しており、彼らの指摘に同感だ。

 

中米ハーフという人々を通じて、なんとも白黒つけがたい国家対立の一面を垣間見たような気がする。

 

「中国の人・モノ・ことは全部ダメ」「米国の人・モノ・ことは全部だめ」となじり合うのではなく、お互いに優れたところは認めあえるようになってほしいと願う。

 

最後に、インタビュアーは「将来どちらの国で住みたいか」と尋ねた。一人は米国。一人は中国(上海)。一人は「2人の子供の教育に最もふさわしい環境を考えてから決める」と答えた。

 

生活という、人生の最も重要な選択においても、判断は分かれる。それだけ価値観は多様であり、一つに決めつけることはできないということではないか。

 

~お読みくださり、ありがとうございました~