私は地方のサラリーマンだ。仕事で外国語を使う機会はほぼ、ない。
それでも中学生のころから外国語の面白さに目覚め、大学入試までは英語を独自に磨き、大学入学後は第二・第三外国語として中国語や韓国語、ドイツ語をかじった。
残念ながらいずれも在学中にものにすることができず、卒業後は仕事の忙しさにかまけて学ぶことを放棄してしまっていた。
だが、コロナ禍で飲み会が減り、在宅時間が増えるにつれ、以前熱中した語学への関心が再び高まってきた。
そういう経緯から、2021年春以降、少しずつ中国語の学習を再開している。
中国語を選んだ理由は比較的シンプルだ。
①人口10億を超える大国である=10億人以上と直接コミュニケーションがとれる、友達になれる可能性がある
②経済成長の著しい国である=将来、仕事でも何がしか役立つかもしれない(インバウンド関係などで)
③同じ漢字文化圏として親和性がある
④個人的に麺類が大好きであり、将来中国を旅したときにディープな店を探せるかもしれない
ざっと挙げると上のようなものだ。
今は米中対決、中国脅威論が叫ばれているが、私は政治家でもなく、影響力もなく、一人ぐらい中国語を学ぶ人間がいたって世の中に何の迷惑もかけることはないだろうと思っている。
何より、国家・政府と国民・住民は似て非なるものだ。一国の政治体制に問題があったとしても、そこで暮らす人々まで十把一絡げに「許されない連中だ」と指弾することは近視眼的に過ぎると思う。
あちらの国にも温和な人はおり、こちらの国にも視野の狭い人はいる。国や言葉、文化の違いを超えて親睦を深めることは可能だと私は信じる。
草の根交流があるからこそ、世の中は完全な分断から守られているのではないか。
とまあ固いことはさておき、中国語の勉強を始めた。
いやあ、面白い。英語とはまた違った発音体系、文法システムがある。英語脳にどっぷり染まっているときには見えなかった、言語の奥深さを感じさせられる。
興味深い点をいくつか挙げると
①ルールさえマスターすれば、100%綺麗に発音することができる=英語のように、綴りだけみて「どう発音するんや」と戸惑うことがない(漢字の一字一字に固有の発音があり、これを覚えれば攻略できる)
②不要な単語は省略するため効率的=例えば日本語で「昨日は楽しかった」と言いたいとき、中国語では「昨天我很开心(zuotian wo hen kaixin)=昨日・私・とても・楽しい」となる。「昨日」について話をしているので、わざわざ「楽しかった」と過去形にする必要がないと中国人は考える。その結果、自制の一致を考慮することなく「开心(楽しい)」のひとことで済ますことができる
③音が美しい=これは理屈で説明はしづらい。少なくともいえるのは、日本語や英語とは違ったリズム、抑揚があるということ。これが耳になじんでくると、離れられなくなる。
上記の三つ以外にも、少しそれるが魅力的だと感じる理由がある。言語交流したいときに、パートナーを見つけやすいということだ。
英語を学びたいと思ったとき、やはりネイティブと話したいものだ。だが、日本にネイティブはそれほど多いわけではないし、おしえてもらおうとするとお金が必要になることも少なくない。こちらの英語力も求められる(how are you ぐらいしか言えない水準だと、ネイティブから敬遠されてしまう)。
一方、中国語になると状況が異なってくる。まず、中国人の日本語熱が非常に高く、むしろ向こうの人たちが日本語のネイティブを探している。こちらが日本語を教えてあげれば、向こうは倍以上の力で中国語を教えてくれる。ネイティブ同士の助け合いができる。
ここでいう「助け合い」とは、実際に会って話をすることではなく、語学交流アプリなどを通じオンラインで会話することをいう。ときに音声のみ、場合によっては顔も見せ合いながら、発音、文法をお互いに教え合い、質問し合う。実践的であり、生きた学びになっている。
繰り返しになるが、私は言語学習・言語交流でお互いの国の政治や宗教の話は話題に出さない。言葉と文化を学ぶことが目的だからだ。従って、向こうさんがそういう話題を出してきたら、付き合いを避けるようにしている。
中国語の資格試験はまだ受けたことがない。おそらくそのレベルに達していない。しかし、その面白さは体感している。このブログでは、その進捗や発見を綴っていきたい。
時間も金もない地方のサラリーマンが取り組む、第二外国語学習。亀のような歩みだが、すこしずつ前に進もうとしている中年おっさんの等身大を実況していきたい。
~お読みくださり、ありがとうございました~