おじさん少年の記

疲れた時代に、癒やしの言葉を。からだはおじさん、こころは少年。

【歩き旅と思索】 26・収穫のない日もある

右脚、左脚と交互に進めるだけの旅は、いつも印象的な出会いに恵まれるわけではない。

 

何という発見もなく、まぶたに焼き付くような光景もなく、ただ日がな歩いて終わったーということも少なからずあった。

 

北関東の一地方都市を歩いていたときのこと(実名を挙げるとその都市をディスることになるので匿名にする)。

 

地方にありがちな、だだっ広い道路に沿って大型店舗が立ち並ぶ、無個性な街並みが広がっていた。住宅街にも差し掛かったが、きれいに区画整理がされすぎ、かえって不気味ささえ感じさせた。

 

俺、今どこにいるんやろう?

 

そんな疑問がわいてくるほど、土地のにおいがしなかった。

 

テクテク歩いてその日の旅を終え、宿に泊まったかと思う。

 

では、この日の旅は無意味だったのか。必ずしもそうではない。人生なんてそんなものだ。いつもかつも素敵な出会いやめぐり逢いがあるわけじゃない。単調で、つまらないとすら感じられるような日々があってこそ、印象的な出会いのある日が輝くのだ。

 

首都圏に限らず、郊外の都市を歩くときは、上記のような経験をすることが多い。「何が楽しいのか」と聞かれたら、なんとも答えようがないが、「楽しくないのも旅の一部」ということは言えるのではないかと思う。

 

無駄、暇、単調も、旅や人生を彩る貴重な要素だと考える。

 

~お読みくださり、ありがとうございました~