おじさん少年の記

いつまでも少年ではない。老いもしない。

【歩き旅と思索】 25・星空の美しさに気づく

日がな歩き、足腰がへばったところでテントを張る。翌日も、その翌日も、その繰り返しだ。

 

単調このうえない旅だが、意外と発見や気づきがあり、やめられない。

 

日が暮れた後も楽しみが残っている。

 

栃木県の日光から那須塩原に向かって歩いていたときのことだ。とあるキャンプ場でテントを張り、日暮れ前から横になっていた。

 

初夏だった。日中の暑さもどこへやら、目が覚めたころにはテント内も少しひんやりしてきていた。夜9時ごろだったろうか。

 

何も考えずに、テントのジッパーを開けた。外を見回したところ、瞳を奪ったのは辺りの建物や木々ではなかった。


真上に広がる星空だった。

 

全くの静寂の中で、無限数ともいえる光の点たちがまたたいていた。耳の奥で、「チラチラ」という存在しないはずの音が共鳴しているように感じた。

 

こちらに話しかけてくるような、身近さを感じさせてくれる星々に、ぐっと親しみが増した。

 

宇宙あっての地球であり、私たち人間がある。人間の理解を超えた、スケール無限大の宇宙空間を、ひたと感じることができた。

 

その後もたびたび野宿中の星空観賞を楽しむ機会に恵まれた。「宇宙とつながっている」感が半端ないのは、日中歩き続けることで感覚が野生を取り戻していることもあるのではないかと思う。

 

昼も楽しく、夜もそれなりに充実しているのが歩き旅の魅力だ。

 

~お読みくださり、ありがとうございました~