おじさん少年の記

疲れた時代に、癒やしの言葉を。からだはおじさん、こころは少年。

【歩き旅と思索】 28・量から質へ

~簡単な自己紹介はこちらです~

 

金はないが時間だけはたっぷりある学生時代と違い、会社員になると歩き旅に出られる時間がめっきり少なくなった。

 

結婚し、子どもが生まれ、年齢を重ねるにつれ、自由気ままな一人旅はますますしづらくなる。

 

今では年に1,2度出るかどうか。二泊三日程度。

 

学生時代のように、1回で2週間近く歩き続けるなんていうことは、働き続けている限りできないだろう。

 

では、歩き旅の楽しみが薄れているのかというと、そんなことはない。学生当時と変わらず、一歩一歩を楽しみ、景色のゆるやかな変化を楽しみ、ちょっとした発見に驚き、出逢いに感謝している。

 

時間が限られているだけに、一歩一歩が余計に楽しく感じられる。不思議なことだが、同じ「歩く」という動作なのに、心持ちが日常から一気に解放される。ふわふわしたような、まるで見たことのない世界に降り立ったような、自由な気持ちになれる。

 

まぶたに、鼓膜に、肌に接するさまざまなものが、新鮮に感じられる。

 

齢を重ね、いろいろな世事に心煩わされるようになり、道中心をひかれるものも少しずつ変わってきた。道端のお地蔵様に目が向かうようになるとは思いもしなかった。

 

以前と違って旅の量は減ったが、それを補うに充分なほどの質をかみしめている。

 

これからさらに忙しくなり、日帰り旅を1回だけしかできない年もあるかもしれない。それでも、その1日だけは日常空間から離れ、歩き旅師としての目で世を見、感じ、気づきたいと思っている。

 

世の中の忙しいサラリーマンに、乾杯だ。お互い、限られた時間の中で趣味をたっぷり楽しみましょう。

 

~お読みくださり、ありがとうございました~