【サラリーマン・宇宙感動記】10・次世代宇宙望遠鏡がアップをはじめた
宇宙と私たちをつなぐツールの代表格が、望遠鏡だ。
その望遠鏡の中でも、とりわけ高性能で人類の期待が掛かる最新鋭機器が、近く本格稼働を始める。
JWST(ジェームズ・ウェッブ・宇宙望遠鏡)。
それまで、宇宙望遠鏡の主役は、地上約600キロを周回するハッブル宇宙望遠鏡だった。ハッブルは1990年に打ち上げられて以来、系外惑星(私たちの太陽系以外で存在する惑星=生命のいる可能性がある)の発見などで多大な貢献をした。
そして、このJWST。さらに大きな成果が期待されるのには幾つも理由がある。一つ、分かりやすい事例を挙げると、その配置される場所に圧倒的な違いがある。
ハッブル→地上から「600キロ」
JWST→地球から「1500000キロ(150万キロ)」
桁が4つ違う。なんと、私たちが見上げるお月さま(地球から380000キロ)の4倍ほども離れている。それだけ離れているから、当然地球の大気圏の影響は受けないし、地球から反射される光に邪魔されることもない。
ちなみにJWSTが配置される場所は、太陽・地球からの重力が安定する「ラグランジュ・ポイント」と呼ばれるエリアだ。
漆黒の宇宙で、邪魔するものなく、はるか遠方の深宇宙に視野を向ける。狙う先も興味深い。
ファースト・スター
文字通り、宇宙が誕生してから最初に現れた恒星のことだ。
JWSTは、ハッブルのように可視光を拾うのではなく、波長のより長い赤外線を感知する。宇宙の遥か彼方から届いてくる、ビヨーンと伸び切った光の波(もはや光ではなく赤外線)をキャッチする。赤ちゃん星がどんな様子をしているのか、興味深い。
また、その性能から系外惑星の探査でも期待が寄せられている。私たち地球人以外に生命が存在し得るのか。その手がかりも見つけてくれる可能性がある。
JWSTは2021年12月に打ち上げられ、約1か月後にはラグランジュ・ポイントに到達した。今は折りたたんだミラーが開かれ、本格稼働に向けた詰めの調整が続いている。
懸念もある。故障しても、修理できない。ハッブルのときは、宇宙飛行士たちが故障箇所を修理して30年も延命できたが、今度はそうはいかない。人類の叡智を掛けて、故障することなく、数々の発見と感動をもたらしてほしいものだ。
~お読みくださり、ありがとうございました~
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