ブルルルル
枕元でスマホのバイブ音が響いた。日曜の朝なんだけど、今日も今
人助けのヒーロー・ざんねんマン。活動が知られるにつれ、来客・
はい、もしもし。何かお困りごとの相談でしょうか。
・・返事がない。
緊張しているんだろうか。それともいたずら電話か。しばらく待っ
あのすいませんが、もしご用がないようでしたらここで失礼します
二度寝の態勢に入りかけたところで、ようやく電話の主が口を開い
なんですかまったく。電話かけといて「もういっか」とは。ざんね
啖呵を切られて相手もふんぎりがついたようだ。「いやあですね、
電話の主はアラフィフの男性。会社員。妻子に恵まれ、派手さはな
出世の可能性も、おおかた先が見えてきた。体力もガタがきて、大
「なんだか、単調な毎日なんす。まあでも、どうしようもないっす
話し方も実に淡泊だ。自分で結論を出しかけている。さきほどの「
おたくさまねえ、相談内容は分かりましたけどね、日曜の早朝に起
「うわっ、ちっさ。そんなどうでもいいことで目くじら立ててるん
電話の男がサバサバと言ってのけた。これがざんねんマンの怒りに
ひとしきりまくし立てると、再び電話越しに沈黙が訪れた。
完全に、引かれてしまったか。今回こそは人助けに失敗したーとば
「こんなしょぼいことで、ムキになれるあんた、すごい」
褒めているのかけなしているのかは分からないが、男が真心から話
「ありがとう、おっさん。おれ、しょぼいことから見直していくわ
ガチャ
切り方も実にあっさりとしていた。もうちょっと柔らかい物腰でも
・・・
それから1週間後。週末恒例の「布団ぬくぬく」を、再びスマホの
~(下)に続く~