おじさん少年の記

疲れた時代に、癒やしの言葉を。からだはおじさん、こころは少年。

【サラリーマン・妄想SHOW】5・就任第一声

え~、このたび首相の重職を拝命いたしました、山田寅太郎でございます。

 

どうぞよろしくお願いします。

 

国民生活を守るため、身を賭して尽力する所存でございます。

 

疫病流布、諸物価高騰、国際争乱。まさに国は未曽有の危機にあります。

 

皆さまご高覧のとおり、我が国の財政は逼迫の度を高めております。国の借金がGDPの10倍を超えるような有様で、社会保障を手厚くしようにも先立つものがございません。

 

私は正直に申します。もう、お金がありません。打ち出の小づちは、ございません。これが現実です。私たちの世の中は、私たち自身でなんとかしていくしかないのであります。

 

まだ、打つ手はあります。私は呼びかけます。日ごろお世話になっているあの人に、贈り物をしましょう。例えば奥様に、花束を。奥様の心に、パッと花が咲きます。それだけではありません。プレゼントをしつらえた花屋さんも、懐がポッと温まるわけでございます。

 

旦那さんには、とびきりのクラフトビールなんか、いかがでしょう。喜ばれるでしょうなあ。ビールを卸した酒屋さんも、一息つけますよ。

 

みんながちょっとずつでいいから、お金を使う。モノと気持ちを贈る。そうしていくうちに、世の中のマインドが前を上を向いていく。お金の巡りもよくなっていくのでございます。無理に公共工事を増やさなくても、増税しなくても、身近にやれることはあるのでございます。

 

さあ、動き出しましょう。

 

(しばし報道対応)

 

じゃ、私はこれから一件用事がございますので、失礼。

 

・・・

 

誰か就任演説で呼びかけてくれないだろうか。国の手出しゼロで、世の中の景気が相当に良くなると思うんだけどなあ。