おじさん少年の記

いつまでも少年ではない。老いもしない。

目線

 

瞳を開いてから1日が始まる。

 

むくりと起き上がり、そこからは水平視線の連続となる。

 

壁があり、部屋があり、人がおりスクリーンがある。

 

人、人、人の世界である。

 

よのなかは人で統べられている。

 

そう思い込むのも無理はない。

 

ただ、本当にそうなのかと疑いたくもなる。

 

あるとき、ある晩、反抗してバイクで外に繰り出す。

 

あー叫びながら海沿いを走る。

 

どこかの浜辺で倒れ、大の字になって降参する。

 

瞳を開けると、漆黒が広がっている。

 

光る点が散在している。

 

どこにも息づくものは見当たらない。

 

自分があるこの空間の広さ奥深さに気付かされる。

 

人間というものは、この無限世界のただ一部分にすぎないのだ。

 

目線を少し変えるだけで世界の姿が変わる。

 

世界は人間が中心なのではない。

 

塵芥からはじまる存在それぞれが中心であり主体なのだ。