人類を火星に送る計画が進んでいる。
いつかくる地球の環境危機に備えて、避難先を用意しておこうというわけだ。
だが、これだと移住できる人類が限られるだろう。
イーロン・マスクのおっさんでも頑張ってウン万人だろうか。
そこで、日本のしがないサラリーマンである私は思うのである。
地球の軌道そのものを移動させてしまえばいいじゃないか。
文字通り「宇宙船地球号」だ。
少しずつ軌道をずらし、フライバイを重ね、やがて太陽系を離れる。
目指す先は、お隣の恒星系であるプロキシマ・ケンタウリ。そこなら恒星の寿命も長く、人類もお天道様の恵みに預かれる。
ここで疑問が沸くだろう。どうやって地球の軌道をずらすのか?と。
その方法は、先日アメリカのNASAが成功した実験にある。その名は「DART計画(Double Asteroid Redirection Test)」。
小惑星に弾丸をぶつけて、軌道をそらす。この困難なミッションを、NASAは見事にやってのけた。
これを繰り返す。小天体体クラスから衝突を重ねていって、だんだんと大きな天体の軌道を動かしていく。地球サイズの天体を、わざと地球に近づける。
ぶつけると元も子もないので、あくまで近づけるまで。そして相手の重力を活かして、地球がフライバイ効果で既存軌道より外側に飛び出ていくというわけだ。
私たちのボイジャー1号2号も、惑星に近づいてフライバイで太陽圏を脱出していった。
太陽圏を離れると大気が絶対零度近くまで下がる。どうやって生き残るのか。
地下に潜ればいい。エネルギー源は、原子力だ。
あと百年もしたら、核融合を軸にした発電が実用化されるだろう。この技術を活かし、しばし数百万年の漆黒を生き延びるのだ。
誰かは「それでは寂しすぎる」というかもしれない。もう地上を闊歩できない。青空も見れないし、澄んだ空気も吸い込めない。小川のせせらぎも、ない。
ただ一つだけいいたい。
ただの一人も取り残されない。
みんな、一緒なのだ。
みんなで「引っ越し」、できたらなあ。
〜お読みくださり、ありがとうございました〜